神戸・元町映画館の10周年記念として制作された映画『まっぱだか』。
安楽涼と片山享が共同監督を務めた話題作である。
他者から求められる自分像に翻弄されるナツコを演じた津田晴香に話を伺った。
Q.『まっぱだか』は、2020年の元町映画館開館10周年を記念して作られたそうですが。
元々はオムニバス映画として、監督おふたりのところに企画がいったのですが、ふたりで一緒に作ることになって、さらに長編に変更となって、そこから私と柳原さんが選ばれてこの映画ができました。
Q.撮影はいつ頃でした?
2年前の12月、クリスマス前の寒い時期でした。期間は1週間。この1週間は今でも鮮明に覚えていますし、忘れられません。神戸の観光地ではなくて、元町で暮らしている人たちが生活しているところで撮っていました。私の地元でもあって、いろんな友達が手伝ってくれました。
Q.監督がふたりいるのはいかがでしたか?
ふたりの監督も出演していて、私は横山役の片山さんとお芝居をすることが多くて、演出は安楽さんにしていただいていました。
Q.津田さん演じるナツコは女優志望。津田さん自身と重なる部分もあったと思います。
ナツコというキャラクターは、片山さんが私の話を聞いて、あて書きしてくれてできました。ナツコを演じることで自分自身と向き合うようになり、精神的にしんどかったですね。ときが経つにつれて、役と自分が切り離せなくなってきて、片山さんに対する私の当たりが強くなりました(笑)。そういう部分では片山さんは大変だったと思います。
Q.役作りにとても苦労されたのですね。
作品中でも描かれているのですが、私は嫌なことを言われも笑ってごまかして、自分の気持ちから逃げていました。しんどいことを受け流してきたんです。そんな自分を、あまり好きではないと思っていたけど、心の奥底では自分のことを嫌いじゃないんだなと発見できました。これからは自分をもっと大切にしたいです。その気持ちを見つけられたことが、私にとって凄く大きかったです。
Q.この作品に出会って、役者としても人間的にも成長できたと。
そうですね。成長させていただきました。元町映画館の人とかも「変わったね」と言ってくださいます。自分に対する考え方も結構変わりつつあり、自分を肯定できるようになったのは大きくて。出演できてよかったと思います、達成感しかないですね。自分が見てもすっきりするというか、自分に前向きな感情を持てるようになりました。自分には怒りの感情がないと思っていたけど、無意識に隠して潰していただけで、意外に怒りの感情が強いんだなと。自分の新たな一面に気づけておもしろかったです。
Q.ナツコに共感する人は少なくないのでは。
見てくださる方が、気がつくきっかけになれば嬉しいです。
撮影・文 シン上田
『まっぱだか』
現実を受け入れられない俊(柳谷一成)と現実の自分ではなく他人から求められる自分に翻弄されているナツコ(津田晴香)。
ある日そんな2 人が出会い、そして同じ時を刻んでいく…
葛藤と葛藤のぶつかり合いは、いつか笑いへと昇華されていくのだろうか。
宣伝・配給/元町映画館
© 2021 元町映画館
2022年5月7日より新宿K's cinemaにて公開
2022年6月16日(木)よりCINEMA Chupki TABATAにて公開
2022年7月2日(土)よりシネマスコーレにて公開