高円寺駅北口から約5分の早稲田通り沿いにある『居酒屋竜ちゃん』。マスターは、カルトなAVやピンク映画などで活躍し、『水戸黄門』や大河ドラマへの主演歴もある俳優の山本竜二さん。高円寺への思い入れを中心に、いろいろ語ってもらった。
東京に出てきたときが22歳。歌舞伎町の次に住んだのが、西永福。高千穂商科大学の目の前のアパートに住んでいて、飲んだり遊びに、ちゃりんこで高円寺によく行ってました。次に住んだのは豊玉。練馬区なんですけど、出てくるのは高円寺の方なんですよ。『大将』とか『桃太郎寿司』とか安い店によく行ってました。僕、生クリームが嫌いなんですよ。だから、駅前の『トリアノン』!! あそこのバターケーキが好きでね。モカロールケーキとかも、いい感じでうまいんです。高円寺には20代半ば頃から慣れ親しんでいるから、長いですね。
ここにお店を出してから今年で満12年。開店するときは、AV男優、監督さん、プロデューサーさんなど業界の仲間に大反対されましたよ。なんでここなんだって、やめたほうがいい。人、通ってないよ。でもね、そう言われれば言われるほど、僕は天邪鬼なので、少数派に行くほうだからね、じゃあ、やってみるかって。AV男優の現役の頃から少数派が見るような作品に出ていたから。みんなが顔と名前が一致する加藤鷹さんやチョコボール向井ちゃんとか、ああいう方たちがやらないような仕事をあえてやっていたという。この店も、やめたほうがいい、無理だよと言われれば言われるほど、やってみるよとなってね。
でも、ここがビルの地下や2階だったら、僕はやってないですね。ここね、もう築50年以上ですよ。物凄い物件で、一軒家だったというのが決定的でした。一軒家だと上の人とか隣の人に気を使わなくていいでしょ。『バクダットカフェ』って映画にあるような、砂漠にある一軒家のお店みたいな感じ。周囲にはあんまりお店がないけど、なんとなくあるという感じね。だから、お客さんにも敢えてここに来てほしいと、流れで来るよりも。敢えて、僕に会いに来てくれよと。他の店では味わえない経験ができるかもしれないよ。
お客さんは個性的で、マニアックな方が多いですね。世の中がサッカーで盛り上がっているようなときでも、興味ないなみたいな。少数派ですね。先日、全身に98個の異物を入れている方が来ました。女王様に、麻酔もかけずに、包丁でカラダを切られて入れられたという(笑)。僕がカルトな作品に出ていたので、そういう凄いマニアックな方が来るんです。でも、僕は仕事、パフォーマンスでやっていたけど、見ていた方は本物ですから。それはかないませんよね(笑)。あと、10代の頃に某駅構内で男に目覚めたという方がお客さんにいるんですけど。その駅には有名なお手洗いがあって、10何番線のホームに。いわゆるハッテン場。1万本の……(以下、自主規制)。
とにかく、俺は変態なのかな、人と違っていておかしいのかなと、自分のことを心配しているあなた!! 世の中にはいろんな方がいます。男でも女でも性別は問わず、ここに来れば自信が持てます。ぜひ、いらしてください。
撮影・文 シン上田

山本竜二/1958年8月19日生まれ、京都出身。俳優、元AV男優。居酒屋『竜ちゃん』のマスター。

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居酒屋『竜ちゃん』 営業時間 21時~27時 不定休