3月11日、「311未来へのつどい ピースオンアース」が東京・日比谷公園で開催された。
加藤登紀子、いとうせいこう、佐藤タイジ、Yaeらが参加。
2011年の東日本大震災を振り返ると共に、未来について語った。

谷崎テトラ
「311をきっかけに価値観の優先順位が変わりましたよね。自分だけの問題ではなく社会全体が」(谷崎テトラ)

いとうせいこう
「9年前も、みんなの気持ちはこんなだったと思います。9年前は放射能。匂いがない、色もない、目に見えない。だからわからないとされたことが多くあります。コロナの場合も同じことがあります。あの人、コロナじゃないかとか、電車の中での目が厳しい日常になっています。そのお陰で、気持ちがとても落ち込んでしまって、みなさんがあまり明るい顔をできず、明るいことがあっても人に言えないような毎日があるのはとてもつらい。あのときと同じだなと。311の問題はまったく終わっていない。見えないものが私たちを脅かし、その不安を利用する人たちも出てくる。集会をしていはいけない、言ってはいけないなど。壁がどんどん多くなっていく社会はよろしくない」(いとうせいこう)

Yae
「大きな地震、そして津波。一瞬にして何万人もの人が亡くなった。その光景は地獄であり絶望だったと思います。農業を再開できない、家もない……。このコロナの騒動、大変なことになってます。目の前が真っ暗ですが、あのときもそうだった。絶望なんだけど、それでも人は生きてけるんだ、人は強い。そんな想いでこの先を一歩進んでいけたらいいなと思っています」(Yae)

加藤登紀子
「福島県県二本松市在住の詩人・関久雄さんの『なじょすべ』という詩集の中から『あなたがたは希望であり、私たちも希望』という詩を朗読させていただきます。遠くかの地より、福島のことを心にかけ、手を差し伸べられたみなさん。また、かの地に移り、新しい暮らしにいそしみながら、何かできないかと今ひとたび汚染地帯に戻られた避難者のみなさん。あなた方は希望です。この地では、放射能からの生き残りと再生をかけ、食うか食われねぇか、出るか残るか、住まう者たちが対立し、不安と混乱の中にいます。囲い込まれ、見捨てられ、絶望し、でもその中で懸命に生きようとしている者たちがいる。その者たちも、また希望なのです。その希望と希望が重なって、夢見る力が、新しい希望の力が育ちます。誰とどんな暮らしをしたいか、誰とどんな社会で生きたいか、素敵なビジョンがうまれます。福島に来られたみなさん。あなた方は希望であり、私たちもまた希望なのです。共に手をたずさえ、支え合え、懐かしい未来をつくりましょう」(加藤登紀子)

佐藤タイジ
「次の時代を作る子が必ずいて、その子たちに何を残すのかということが我々の仕事。なるべくいい環境、おいしい食べ物、自由な考え方などが残っていくといいなと思っています」(佐藤タイジ)

ウォン・ウィンツァン
「人間は必ず成長していける。僕らの希望は成長だと思います」(ウォン・ウィンツァン)
撮影・文 菅田貴之(@shinueda2000)