2018年12月に、ミニアルバム『走りたいわけじゃない』(日本コロムビア)でアーティストメジャーデビューを果たしたシンガーソングライターの岸洋佑。
2ndミニアルバム『THE ONEMEN'S』(日本コロムビア)に収録の『ごめんね』は、作詞をつんくが、作曲をマシコタツロウが手がけ、ミュージックビデオはYouTuber・水溜りボンドのカンタが監督し、俳優の吉沢亮が出演したことでも話題になった。
その岸が、2020年2月に全国を周るライブハウスツアー『改めまして、岸洋佑と申します~唄者修行(うたしゅぎょう)~』を展開。同ツアーは、2018年に開催した『はじめまして、岸洋佑と申します。』からパワーアップした音楽を届けるべくスタートさせたものだった。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、予定の半ばであった2月23日に、出身地である横浜の公演で最終日を迎えることとなった。
音楽が有する力を信じ、安心かつ安全にライブが開催される日が待たれる今だからこそ、全身全霊で音楽を届けた岸洋佑の横浜公演リポートをお届けしたい。
オープニングを飾った曲は、本ツアーで初披露となる新曲『僕のすべて』。爽快なメロディーに突き抜けるパワフルな歌声を乗せ、観客のテンションを一気に引き上げた。
続いてライブの定番曲である『僕の大切なキミへ』『シズク』『Friends!!!』を、ギターの弾き語りならではのアレンジを加えて披露。中でも『Friends!!!』はコール&レスポンスが盛り上がる曲であり、客席から返される大きな歌声に「すごくない!?」「いいね!」と満面の笑みを見せていた。
コール&レスポンスタイムは『牛丼の歌』にもある。同曲は牛丼屋の吉野家が撮影に全面協力し、役者としての出演作である『宇宙戦隊キュウレンジャー』(テレビ朝日系)から縁が生まれた俳優陣(武田航平、濱正悟、大久保桜子、岐洲匠)とコラボしたミュージックビデオでも楽しめる1曲。岸が「ご褒美は豚汁変更」と歌えば、観客は「給料日」と歌い返す独特な歌詞のやりとりで、さらなる一体感が生まれた。
トークでは、「地元なの、ここ。MCで16時間42分くらい話せる」とくだけたモードに切り替わるのが印象的。
初めて付き合った相手を思い出して作ったという新曲『紅茶花伝』を披露し、甘ずっぱい歌詞と優しい歌声で観客を魅了した後でも、「(地元での恋愛経験を歌うのは)“地産地消”って感じがいいよね」と笑いを忘れないのだった。
また「人生いろいろなことがあるけれど、原点に帰って“唄”というものを皆さんに聴いていただきたい、そんな“修行”がしたくて、このツアーを回らせていただきました」と真摯に語り出したかと思えば、「どんどん修行になるもんだね」としみじみとした口調に。ツアーの準備中にパソコンが故障してしまい、「全データが入っていたから、セットリストも大幅に変わって、弾き語りの曲が増えた」という裏話も明かした。
しかし、トラブルの中にも幸運は訪れたようだ。ツアー先の岡山の楽器店で「惹かれて惹かれて、仕方なくて」と感じるヴィンテージギターに出逢い、即決で購入。「僕が想像する父親像みたいに優しい音がして…」というインスピレーションから『お父さん』と命名し、今後の音楽活動に欠かせない存在になったそうだ。
名を表すように、『クレセチア』『いついつまでも』の弾き語りで、会場を包み込むような柔らかい音を響かせていた。
本編最後の曲となる『明日』の歌唱前には、「メジャーデビューしてからスランプに陥いっていました」と切り出した。
そんな中、シンガーソングライターのあいみょんがライブで観客や身近なスタッフを感動させているのを見て、「原点を忘れかけていた」ことを思い出し、改めて“観客と音を楽しむライブ”に挑んだという。
そして「悩んでいたことが嘘みたいに、サーッと世界が広がった」「ここからはグワーッと歌い続けていきたい」と笑顔で告げ、情感たっぷりに歌い上げた。
アンコールの『ちいさい月の下で』では観客とともに体を揺らし、『女神サマー』ではタオルを振り回しながら飛び跳ねる。
元気いっぱいのステージを締めくくった曲は、『春がくるたび』。「夢を叶えるその時には また逢えますように」という歌詞と、「唄を届けたいって気持ちがあふれて止まらない」という言葉とともに、2時間のライブを終えた。
アーティストたちがライブ開催の自粛を余儀なくされ、世の中の音楽への渇望感が増していると言える。岸洋佑が“唄いたい欲”を実らせていく姿は、多くの人に活力を与えるだろう。
【公演情報】
岸洋佑 ライブハウスツアー2020
『改めまして、岸洋佑と申します~唄者修行~』
2020年2月1日(土) 福岡 DRUM SON
2020年2月2日(日) 鹿児島 SR HALL
2020年2月8日(土) 金沢 AZ
2020年2月9日(日) 新潟 CLUB RIVERST
2020年2月15日(土) 広島 BACK BEAT
2020年2月16日(日) 岡山 image
2020年2月22日(土) 柏 ThumbUp
2020年2月23日(日) 横浜 BAYSIS
【セットリスト】
1.僕のすべて
2.Door
3.僕の大切なキミへ
4.シズク
5.Friends!!!
6.真夏の果実(サザンオールスターズ)
7.紅茶花伝
8.クレセチア
9.いついつまでも
10.Singn'Step
11.牛丼の歌
12.ごめんね
13.僕のとなりで
14.ライム
15.明日
―アンコール―
16.ちいさい月の下で
17.女神サマー
18.春がくるたび
【岸洋佑情報】
■公式サイト
https://kishiyosuke.jp
■公式Twitter
https://twitter.com/YosukeYou
■公式Instagram
https://www.instagram.com/yosukekishi_official/
■公式YouTube「岸洋佑official」
https://www.youtube.com/channel/UCjo8hYYWdtDLmpP0-dUuH9Q